大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和36(あ)813 判決

主 文

本件各上告を棄却する。

理 由

被告人両名の弁護人船内正一の上告趣意中違憲の主張について。

本件記録によると、原審は第一回公判期日において本件につき事実の取調として

証人Aを尋問する旨決定し、第二回公判期日において右証人を昭和三五年一二月六

日午後一時その自宅において尋問する旨決定し、右証人の臨床尋問には被告人B及

び相被告人Cはいずれも立ち会わず且つその後においても特に被告人Bに対し右証

人の供述の内容を知らせる手続を執らなかつたことは所論のとおりである。しかし

ながら、本件においては、原審は記録を精査し、第一審判決挙示の証拠及び原審に

おける証人Aの尋問の結果にかんがみ第一審裁判所の事実の認定を正当として支持

し控訴を棄却したのであつて、第一審判決を破棄し、原審における事実の取調(証

人の尋問)の結果を事実認定の資料に供して自判したものでないことは原判文上明

らかであるのみならず、前記証人の取調はもともと被告人B及び相被告人Cの各弁

護人の申請した証人の尋問であつて、被告人らは前記第二回公判期日には出頭し、

右証人に対する臨床尋問の期日を適法に告知され且つ右臨床尋問には被告人らの弁

護人船内正一(被告人Bにつき昭和三五年一二月六日、同Cにつき同年二月六日各

選任)が立ち会つて右証人に対し主尋問を行つていることが記録上明らかである。

かような場合には、被告人らを右証人の尋問に立ち会わせず且つその証人の供述の

内容を被告人らに知らせる手続を執らなくても、被告人の憲法三七条二項に定める

憲法上の権利の保護は充分に与えられているものと認むべきことは、昭和二七年二

月六日大法廷判決(刑集六巻二号一三四頁)の趣旨とするところであつて、原審の

手続には所論の違法があるとはいえない。論旨は理由がない。

その余の論旨は訴訟法違反及び事実誤認の主張をいでず刑訴四〇五条の上告理由

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に当らない。また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

昭和三六年六月一九日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 池 田 克

裁判官 河 村 大 助

裁判官 奥 野 健 一

裁判官 山 田 作 之 助

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